ナンクル力学系

学んだ事を書き連ねていこう。

残念な目的地。

leave a comment »

この週末、ひたすらブログを書き続けている気がしてならない。まとめるのは結構面白いれどやっぱり早く先へ進みたい。

朝倉の解析力学Iの第四章は、ハミルトン形式の力学。そこに現れるのは、シンプレクティック構造。そもそもこの本を読もうと思ったのは、シンプレクティック構造ってなんだ、と思ったことがきっかけ。前期の授業やゼミで名前ばかり出てきて、でもその説明は無くて、なにくそ、と思ってたわけだ。

まず、ラグランジアンが正則ならばハミルトニアンが定義できて一般化運動量と一般化速度が一対一対応することを示す。ラグランジュの運動方程式はハミルトニアンにたいする正準方程式に変形出来る。一般化運動量は接ベクトルと双対であるので余接空間のベクトルであることが分かり、余接バンドルは相空間T^*Nと呼ばれ、一般化座標(=正準座標)と一般化運動量(=正準運動量)の組である正準変数(q, p)がその局所座標系となる。ここで、配位空間から相空間への写像である正準1形式\theta =p_i dq^iを定義する。

質点系では、配位空間に備わるリーマン計量から接空間に計量テンソル場m_{ij} dq^i \otimes dq^jを導入し、これが速度ベクトル場から相空間へ写像となり\theta = m_{ij} \dot q^j dq^iを得ることが出来る。これは一般的な力学で速度に質量をかけると運動量になることに相当する。

配位空間をn+1次元の拡大配位空間T \times {\bf R}に拡大して考えると、拡大相空間(T^*N) \times {\bf R}を導入することが出来る。拡大相空間の次元は2n+1となる。ここでも、正準1形式を考えることが出来、それを「(T^*N) \times {\bf R}に引き上げられた正準1形式」と呼ぶ。

さて、ここで正準2形式\Omega = d\theta = dp_i \wedge dq^iを定義する。 ここで、z= {}^t ( q^1,\cdots,q^n, p_1,\cdots,p_n) = {}^t (z^1,\cdots,z^{2n})とすると、\Omega = \frac{1}{2} \Omega_{\mu \nu} dz^{\mu} \wedge dz^{\nu}と表される。2階交代共変テンソルとしての正準2形式は行列表示で

\hat\Omega=(\Omega_{\mu\nu})=( \begin{array}{cc}\hat 0_n&-\hat I_n\\ \hat I_n&\hat 0_n \end{array})

となる。その2階反変テンソルの行列表示は、

\hat\Omega '=(\Omega^{\mu\nu})=( \begin{array}{cc}\hat 0_n&\hat I_n\\ -\hat I_n&\hat 0_n \end{array})

となる。

シンプレクティック多様体(M, \Omega)とは、

  1. 多様体の次元が偶数で、
  2. 交代2形式\Omegaが閉じている、つまりd \Omega=0で、
  3. 非退化、つまり<\Omega |v,\bullet>=0ならばv=0 である。

\Omega シンプレクティック形式という。

正準方程式は、\frac{dz}{dt} =\hat\Omega ' \nabla Hという形にも書ける。また、<\Omega|\dot c, \bullet > = -dHという形でも書け、これを正準方程式の局所座標系によらない表現という。

さらにこの表現はハミルトニアン・ベクトル場v_H = v_H^\mu \frac{\partial}{\partial z^{\mu}}を用いて、\dot c(t) = (v_H)_{c(t)}と書ける。

つまり、ハミルトン力学系を調べるということはベクトル場により決定される微分方程式系を調べることである。ここで、内容は一旦解析力学を離れ力学系の話になる。証明はほとんど載っていないが、 解の性質、線形化方程式、平衡解の性質、リャプノフ関数ポアンカレ写像など基礎的な内容について説明されている。ほとんど知っている内容で軽く読んだだけなので詳しくは説明しないことにする。

正準力学系は、偶数次元であるがために固有値のすべての実数部分が負になることは出来ないことが分かる。つまり、正準力学系は漸近安定な平衡解を持つことが出来ない。力学系を少し変化させても平衡点の性質は変わらない場合、その力学系は構造安定であるという。多くの正準力学系は構造安定である。

力学系の解をフローと呼ぶ。正準力学系のそれをハミルトニアン・フローと呼ぶ。ハミルトニアン・フローでは\Omega^{\mu\nu}の反対称性より{\rm div}\ v_H = \Omega^{\mu\nu} \frac{\partial^2 H}{\partial z^\mu \partial z^\nu} = 0となる。リュウヴィルの公式\frac{d}{dt} m[D] = \int_D ({\rm div}\ v(x) ) (dx)^nから、相空間の領域の体積は時間に対し不変であることが分かる。これをリュウヴィルの定理という。よって、正準力学系には湧点・沈点が無いこと、漸近安定な軌道も存在しないことが分かる。

自立正準系は保存系なので、等エネルギー面はその中に初期値をとる解がその中に留まり続ける不変集合になる。 これより、位相論的な議論から、有界な不変集合にはある点のどのような近傍にも繰り返し戻ってくる解が戻ってくる、そしてそのような点が必ず存在することが言える。これをポアンカレの再起定理と言う。

なんだか、期待してた分がっかりが大きかったような。。。まあ、一般の正準力学系に対して体積が不変だと証明するリュウヴィルの定理は面白いと思うし、ポアンカレの再起定理の証明の方法も位相論的なところが好きだ。けれど、どっちも証明出来る結果になんというか、夢がないような気がする。(それが正準力学系の特徴なんだろうけど。)シンプレクティック構造も、それ自身の美しさ以外にあっと驚くような有用性を期待していたのに。

いや、この本もあと一章残っているし、解析力学IIまで読めば面白いことがあるかもしれない。なにもこの本にこだわらなくても良いんだしね。まだまだ理解も甘いから見えてない部分もあるはずだ。

Advertisements

Written by tkf

October 7, 2007 at 11:51 pm

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this: